認知症の人が求めている5つの要件
明日の記憶も忘れて『今』『ここ』しか認識出来ない状態。この今を生きる。できるようでできない生き方である。このような認知症の人が求めて体験している不便、苦しみ、悲しみ、悩みをはたして理解できるであろうか、また理解しているだろうか?
パーソン・センタード・ケアの中でキッドウッドは認知症の人が求めている5つの要件を示している。
①なぐさめ(安定性/comfort)
心が混乱してバラバラになりそうな時、1人の尊厳生を持つ人間として1つの心にとどまる事ができる様に温かさと力を用意する。
②愛着(きずな/attachment)
不確定で不安な気持ちに対して、産まれたばかりの乳児が母親を求めるような密着、愛情の求め、それに対する応答が必要。
③帰属意識(仲間に入りたい/inclusion)
孤立ではなく、人と交わっている事で得られる安心感もってもらう。注意を引く行動やまとわりつくといったサインを見逃さない
④携わる(役割意識/occupation)
ひとは自分が仲間にとって役に立つ存在である事で安心し満足することができる。そのためにその人の能力や気力を引き出すこと。
⑤その人らしさ(物語性/identity)
自分が誰であるかを知り、過去から一貫した自分を保つ事ができるようにする。その人の過去の物語を聴き、内的体験をよく聴くことである。
認知症ケアのポイントは認知症の人と新しい絆(信頼関係)を結ぶこと、当事者の尊厳を支え、配慮された言葉使いや行動をとり、同情ではなく共感する為には、ケアする人は自分なりのセンスを磨くことが大切となる。
認知症ケアとは自分の人生の時間の一部を、それを必要としている人の為に自分を磨きながら使うという素晴らしい仕事であると考える。
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